きつねの音楽話

老人性古本症候群を患った若者の徘徊ブログ

現代の楽器と昔の楽器を比較してみる 古楽復興とバッハ

前回までに組曲がどういうものかみて、バッハの無伴奏作品の構成をみてみました。

今回はもう少し詳しくバッハの無伴奏作品の構成をみてみます。

 

 

古楽復興とバッハ(ちょっと踏み込みすぎ?)

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無伴奏作品まとめ

無伴奏バイオリン・ソナタⅠ~Ⅲ

番号順ではなくまずソナタをまとめてみます。

ソナタⅠ ト短調, BWV1001
  1. アダージョ
  2. フーガ(アレグロ)
  3. シチリアーナ
  4. プレスト
ソナタⅡ イ短調, BWV1003
  1. グラーヴェ
  2. フーガ
  3. アンダンテ
  4. アレグロ
ソナタⅢ ハ長調, BWV1005

  1. アダージョ
  2. フーガ
  3. ラルゴ
  4. アレグロ・アッサイ

 

まず目につくのが第二楽章のフーガですね。

ソナタは3曲とも第二楽章にフーガをもっています。

ピンとこないかもしれませんが、これが”とんでもないこと”です。

 

第一楽章は教会ソナタなのでゆっくりとした曲がおいてあります。

第一番と第二番は似た形をもっていますが、第三番だけはちょっと特殊です。

 

第三楽章はどの曲も抒情的なものですが、第一番だけ舞曲が入っているのは注目に値します。第二番は通奏低音を伴う、これまたとんでもない曲。

どの曲も三楽章だけ他調で書かれています。

無伴奏バイオリン・パルティータⅠ~Ⅲ

パルティータⅠ ロ短調, BWV1002
  1. アルマンド―変奏
  2. クーラント―変奏
  3. サラバンドー変奏
  4. テンポ・ディ・ブーレ(ブーレのテンポで)―変奏
パルティータⅡ 二短調, BWV1004
  1. アルマンド
  2. クーラント
  3. サラバンド
  4. ジーグ
  5. シャコンヌ
パルティータⅢ ホ長調, BWV1006
  1. 前奏曲
  2. ルール
  3. ロンド風ガボット
  4. メヌエットⅠ、Ⅱ
  5. ブーレ
  6. ジーグ

 

これをみると”組曲でない”というのがわかると思います。

第一番はそれぞれの曲の後にドゥーブル(変奏)がつくのが特徴です。

第二番は問題のシャコンヌがお尻にくっついています。

無伴奏チェロ・組曲

組曲Ⅰ ト長調,BVW1007
  1. 前奏曲 和声、ホモフォニー的
  2. アルマンド
  3. クーラント イタリア型
  4. サラバンド
  5. メヌエットⅠ、Ⅱ(g-moll)
  6. ジーグ
組曲Ⅱ 二短調,BWV1008
  1. 前奏曲 旋律、ポリフォニー的
  2. アルマンド
  3. クーラント イタリア型
  4. サラバンド
  5. メヌエットⅠ、Ⅱ(D-dur)
  6. ジーグ フランス風
組曲Ⅲ ハ長調,BWV1009
  1. 前奏曲
  2. アルマンド 遅いアルマンド「アルマンド・グラーヴ」
  3. クーラント イタリア型
  4. サラバンド
  5. ブーレⅠ、Ⅱ(c-moll)
  6. ジーグ 
組曲Ⅳ 変ホ長調,BWV1010
  1. 前奏曲
  2. アルマンド イタリア的陽気
  3. クーラント イタリア型
  4. サラバンド
  5. ブーレⅠ、Ⅱ
  6. ジーグ
組曲Ⅴ ハ短調,BWV1011
  1. 前奏曲 フランス序曲風
  2. アルマンド フランス様式
  3. クーラント フランス型(ヘミオラがみられる)
  4. サラバンド
  5. ガボットⅠ、Ⅱ
  6. ジーグ カナリー・ジーグ(八分の三拍子 強拍部にいつも附点リズム)
組曲Ⅵ ニ長調,BWV1012
  1. 前奏曲
  2. アルマンド
  3. クーラント
  4. サラバンド
  5. ガボットⅠ、Ⅱ
  6. ジーグ

 

みるとメヌエット、ブーレ、ガボットが二曲ずつになっているのがわかります。

フランス序曲というのは、荘重な附点リズムをもった導入部と八分の三拍子の速いフーガが組み合わされた曲。

 

チェロのためのとはいうものの、その辺がよくわかっていないらしく特に六番は、ヴィオラ・ポンポ―ザもしくは五弦のチェロの曲とみられている。(現代では普通のチェロで弾かれることのほうが多い)

第五番スコルダトゥーラ(通常と違う調弦)が使われる曲で、A線(一番高い弦)をGに調弦する。(通常の調弦で弾かれることも多い)

無伴奏フルート・パルティータ

  1. アルマンド
  2. クーラント
  3. サラバンド
  4. ブーレ・アングレーズ(イギリス風)

 

フルートはこれだけです。

ちょっとさびしい感じがしますね。

 バッハとバッハ演奏のあれこれ

これまで無伴奏作品の構成を詳しくみてきました。

もう実際に聴いてみてもよいのですが、ちょっとここで(紙面的問題もあって)歴史的なこと、また演奏のことを少し書きます。

復活するバッハ

 バッハがなくなったのは、前にも書いたかと思われますが、1750年のことです。

バロックというのも一応この年を境に終るということになっているのでした。

 

バッハの音楽はバッハの死後忘れられてしまいますが、それから半世紀以上たった1829年メンデルスゾーンによって蘇演されます。これはクラシック好きの間では有名な話です。

 

まあ、しかし、ロマン派の時代の演奏というのはバッハの時代と随分変わっていましたから、蘇演以後のバッハ演奏というのは相当ロマン的で、それが現代まで長く続いています。

すでにバロックの楽器は絶滅していましたから、通奏低音もピアノで弾いたといいます。楽器が違うと表現が変わってきますから、その辺も大いに関係があるでしょう。

 

それが、変わってきたのが20世紀初めで、

よくいわれるのが、

ランドフスカ(1879-1959)のクラヴサン(チェンバロ)復活です。

バッハの平均律クラヴィーアの全曲録音や作曲家への助言等バッハやチェンバロの(真の)復活に大きな業績を残しました。

1909年には古代音楽の研究書を出版しています。

 

それから、1960年代から本格的に始まった古楽復興運動があります。

これはレオンハルトとアーノンクールという二大巨頭がものすごいパワーをもって押し進めたもので、結果的にバロック音楽だけでなく、古典派の演奏にも古楽復興の影響が表れています。

 

では古楽復興でなにが変わってきたのか、簡単にですが、みてみます。

絶滅していた楽器が復活

前の記事で扱った(バロック)リュートというのも一度完全に廃れたものです。

 

一度完全に廃れて復活したものにはリュートやチェンバロの他に例えば

 

ビオラ・ダ・ガンバ等ビオール属

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バイオリン属と似ていますが、違う種なので、調弦法や弓の持ち方なんかが違います。

それから弦をおさえるところ(指板)にしきり(フレット)がついています。

 

ブロックフレーテ(リコーダー)

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リコーダーもフランス・ブリュッヘンという人が復活させました。

最初演奏に使い始めた時は嘲笑されたといいます。

進化していたものが退化

色々な都合で、バロックと形が変わっていた楽器がもとの姿に戻りました。

バイオリン属の変化

これは現代のバイオリン

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バロックバイオリン

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よく見比べてみてください

 

現代楽器の弓

 バロック弓

 上(タイトル下)の絵でも昔の弓の形がわかります。

 

管楽器の変化

代表でフルート

これは現代のフルート

 

 

フラウト・トラヴェルソ(バロック時代のフルート)

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バラバラになっていますが、もちろんつなげてつかいます。

 

金管楽器もかなり形が違います。

 

 

こんな風に楽器が大きく変わりました。

楽器が変わるとそれだけで奏法がかわりますが、文献を読んで昔どういう風に弾いていたかということを相当研究したようです。

 

というわけでバッハ演奏には古楽復興運動の影響が相当強く出ているわけですが、

ロマン派の巨匠の演奏法を受継いだ現代的奏法というのももちろんあって、というかそちらが主流ですが、バッハ演奏は大きく分けて二種類あることになります。

 

 

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