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きつねの音楽話

老人性古本症候群を患った若者の徘徊ブログ

教養を身につけるために・・・読書初心者が覚えておくとよいことをまとめてみる。

2016年 6月28日投稿 2017年1月27日更新

 

どうもこんにちは、人生の目標のひとつが「教養を身につける」のきつねです。

大変な目標ですね(笑)

教養を身につけるには、まあとにかく本を読んで勉強する必要があるわけです。

しかし、そういう時ただ単純に「本を読む」とはいうものの、実際は“本が目の前にあってそれを読む”だけではない。本を目の前に持ってくる行程があるわけです。

出版社や書店のおかげで、本を購入するのは簡単ですが、膨大な量の本のなかから、読む本を自分で決める必要がある。

いや、本当にこれはなかなか難しいことです。

 

僕が本を読み始めたのは割と最近、先生についてドイツ語を勉強し始めたころなのですが、当時は”本について、本であることしかしらず”、

出版社のことや、本の型(文庫版とか)のことなんか全然わかりませんでした。

作家のことも全然しらないし、

文庫本といわれてもぱっとしなかった(笑)

 

いや、それまでも本を全く読んでいなかったわけではないのですが、そういうことに関しては意識していなかったわけです。

そう考えると普通は意識しないのかもしれませんね。

僕がそういうことを意識するようになったのはおそらく、学者である先生から本や作家等について色々きくようになったからだと思われますが、これを意識するようになると”本”というものが、なんというか格段に面白くなり、”本を見る目”が養われていきます。

 

これからまだまだ学ぶ必要のある僕ではありますが、今回は僕がこれまで先生について学んだ本に関しての諸々の基礎の基礎を、今回は特に出版社を軸にして、読書初心者のためにまとめます。

 

 

 

読書初心者が知っておくべきこと

 

注:今回は読書入門のための記事で、難しいことを書くのではありませんが、僕の主たる目的は”教養を身につけること”なので、本の選び方もそれに準じていると思われます。そういう性質から、書籍一般について書くわけではないので、そこはご了承ください。

 

初めに注目すべき出版社と版型

岩波書店

岩波文庫

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本の並び:新→古(以下講談社現代新書までは同様)

 

画像をみるとわかるように本の装丁は同じ出版社・版型でも時代を経るにつれて変ります。今普通の書店で手に入れられるのは左のようにつるつるのカバーのかかったものです。(他の出版社もだいたい同じ)

 

岩波文庫はやはり一番存在感がありますね。書店との関係も他の出版社とちょっと違うらしい・・・

岩波文庫昭和二年発刊で、日本の文庫版の先駆けです。(画像一番右は昭和三年発行)

文庫はもともと”書庫”のことですが、それが本自体をさすようになったよう。

今では名著を揃えた小さく廉価の版くらいの意味でしょうか。

岩波文庫には老眼用(?)に”ワイド”という大きめのものもあります。

 

岩波文庫発刊に際して岩波茂雄さんが書いた文が巻末に書いてありますから、引用します。

讀書子に寄す           岩波茂雄

岩波文庫發刊に際して―

眞理は萬人によつて求められることを自ら欲し、藝術は萬人によつて愛されることを自ら望む。嘗ては民を愚昧ならしめるために學藝が最も狹き堂宇に閉鎖されたことがあつた。

(中略)

吾人は範をかのレクラム文庫にとり、古今東西に亙つて文藝哲學社會科學自然科學等種類の如何を問はず、苟も萬人の必讀すべき眞に古典的價値ある書を極めて簡易なる形式に於て逐次刊行し・・・

(後略)

 

というわけでドイツのレクラムを手本に作ったのが岩波文庫でそれに他の出版社がついていったようですね。サイズも各出版社殆ど同じです。

レクラムというのはこういうものです。↓

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今も大きめの書店に行けば手に入れることができます。

 

僕は岩波文庫というと、それだけで何故かものすごい難しいものだと思っていたのですが(笑)、古典を集めてあるだけで、もちろん難しさは岩波文庫ではなくその古典に依ります。

岩波新書

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新書は古典的なものではなく新たに書かれたもの(書き下ろしたもの)で、教養を目的とするものです。

サイズは決まって文庫本より一回り大きいです。

岩波新書はご覧の通り年代によって”色”が変わります。

岩波少年文庫

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児童向けの文学を集めた文庫です。

本の大きさは新書より少し大きめで、活字も子供向けに大きくなっています。

新潮社

新潮文庫

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僕が新潮社のものでもっているのは海外文学が多いですね。(文庫以外でも)

角川書店

角川文庫

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講談社

講談社文庫

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講談社文庫はムーミンを手に入れるためにあります。

いや、冗談ですが、ムーミン講談社でしか出版していませんから、僕のもっている講談社文庫は大体ムーミンです。

同じ本を何冊も買ってしまうのは、本好き特有の病気です。

 

ムーミンについては以下参照。

キャラクターグッズだけじゃない?日本語と英語で読む原作ムーミンの世界

講談社現代新書

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同じ本を何冊も買ってしまうのは本好き特有の病気です。

サイズは岩波新書とほぼ同じですね。

最近発行されている講談社現代新書は画像左のように四角形が真中にドンとあるデザインで、現代的なものなんでしょうが、僕は何か無機な感じがしてしまいます。

講談社 青い鳥文庫と英語文庫

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何かひたすらムーミンの宣伝をしているようですが、

青い鳥文庫はこれまた児童向けの文庫ですね。

英語文庫はおまけに載せましたが、初級~中級位の英語学習用の文庫で巻末に注のあるものです。

講談社学術文庫

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比較的新しい学術的な著作を集めた文庫。

他の範型で出版されていたものが、文庫版その他になるということがありますが、画像のものもその一つ。

社会思想社

現代教養文庫

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”教養”文庫ってのがいいですね(笑)

魅力的な題をもっていて、題だけでわくわくするようなものがたくさんある。

その他に覚えておくとよいもの

集英社

僕はあまり持っていませんが、集英社文庫というのがあります。

筑摩書房

ちくま文庫は面白い本が結構あります。黄色の表紙が目印。

僕がちくま文庫のアリスを失くした話↓

失くしたものがみつからないときは・・・ 不思議の国のアリスと探し物とあれこれ

中央公論社

中公文庫というのがあります。

僕は文庫版より、「世界の名著」なんかを大きい版でたくさんもってますね。

読みたい本と選び方

以上わざわざ写真付きで紹介してきました。

すでに知っている人が読んだとすれば、何故わざわざこんなことをする必要があるのか、と思われてしまいそうですが、

本のことを知らないと本当に何もわからないのです。(実体験)

 

以下は入門のために、あるものを読みたいとして、どういうものを選べばよいのか参考に少し書きます。

古典

国文学

明治以前の所謂”古典”は岩波文庫なんかにも入っていて、註もついていますが、古典に不慣れな人は、対訳か、原文と現代語訳を照らしあわせて読むとよいです。

対訳のものでは新学社の「新学社文庫」↓が読みやすくおすすめです、が、絶版です。(僕のおすすめはだいたい絶版。絶版というのは、ある書物が出版されなくなること)

この文庫は国文学だけではなく、世界の名著が入ったものです。

というわけで国文学がなんでも入っているというわけではありません。

 

あとは旺文社の「対訳古典シリーズ」でしょうか。これも絶版のようですね笑

大型の本であれば、新潮社の「日本古典文学全集」などがよいと思います。

これは出版されています。

漢文

僕が知っているうちでは、岩波新書の「新唐詩選」がおすすめです。

これは続編もあります。

小説

小説はもちろんどの出版社の文庫にも入っています。

明治から昭和初期の文学

僕は講談社の「日本現代文學全集」がおすすめです。(これも絶版?)

こういうのです。↓(これは豪華版)

 

というのは表記が、原作通りだからです。

戦後の当用漢字や新かなづかいの法律で、旧表記で書かれたものはいま改変されています。

僕は文学作品の表記を変えるということは作品自体を変えてしまうことだと思っているので、なるべく原作どおりに読みたいというわけ。

ただ旧表記で読むには若干の修行が必要なので、それができないという人、もしくはそんなこと気にしないという人は他社のものでもよいと思われます。

 

他に旧表記を採用しているのが、筑摩書房の「日本文学全集」ですが、これは新表記で出版されたものもあります。(これがちょっと変な事態になっている。古い版は旧表記を採用している)

なのでちくまのものを買う時は注意が必要です。

 

またもう少しマニアックなものに、ぽるぷ出版の「名著復刻全集」があります。

これは名著を、(初めて)出版された時の形で復刻したもので、非常な趣があります。

海外文学

これもまた、どの出版社からも出ていますが、

海外文学の場合は”訳者”が問題になります。

翻訳の好みは人によって違うのでなんともいえませんが、僕は古い人の翻訳のほうが好きなことが多いですね。

 

全集も各出版社からでています。

個人的には河出書房の「世界文学全集」が好きですが、これも絶版のようです・・・笑

 

詩集では角川書店の「世界の詩集」がカラーで綺麗な本です。

(絶版です) 

 哲学・思想

岩波文庫に入っているものなどで十分でしょうが、

中央公論社の「世界の名著」が哲学者、思想家の代表作を集めていて、かつ豊富な註があって、よいと思います。

はい、もちろん絶版です。

終りに

もちろん、上記以外のものでもちゃんとしたものはたくさんあります。

ここにあげたのは僕が実際に手にして、良いと思ったものだけです。

今、こういう本は売れない時代なので、古典や文学作品をちゃんとした状態で読もうとするとちょっと大変です。

が、Amazonなんかを使えば結構簡単に絶版のものを手に入れることができます。

古本は手にとって状態を確認してから買うのが良いので、それができないところAmazonのよくないところではありますが・・・

古本業者の専門用語を覚えればある程度状態を予測できますが、これも色々とまた覚えなければなりません。

 

読書を始めようとするとき、何から読んでよいかわからないと思います。

僕は先生に相談しながら色々と読んでみましたが、周りに信頼できる読書家がいないのであれば、

僕は岩波文庫の100冊の本(1961年)から好きなものを選ぶのが良いと思います。

以来何度か内容の変更があったようですが、まあそのうちどれから読んでもよいのではないでしょうか。

 

ネットで探しても見当たらないようなので、一応100冊の本を一覧にしておきます。

100冊の本 ―岩波文庫より―

〔選者〕

臼井吉見 大内兵衛 大塚久雄 貝塚茂樹 茅 誠司 久野 収 桑原武夫 武谷三男 鶴見俊輔 中野重治 中野好夫 松方三郎 丸山真男 山下 肇 渡辺一夫五十音図

 

注:翻訳家は省略します。

もちろん編者が変わったり、手に入れにくいものもありましょうから、あくまで参考です。

これは読んだ、とか、次はこれを読んでみたい、とか考えてみると面白いですね。

 

最後に、

Life being very short, and the quiet hours of it few, we ought to waste none of them in reading worthless books. 

 という言葉は肝に銘じでおきたいですね。(怖いので訳しません笑)

 

 ◆以下読書関係の記事です。

fuchssama.hatenablog.com

 

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