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きつねの音楽話

老人性古本症候群を患った若者の徘徊ブログ

〇英英〇辞典にすると旅行カバンが軽くなることを発見した(今度の旅について)

大きな川のある街へ行った。

その日はちょうど長月の十五夜で、日没後の冷えた堤防の上を歩いていると、満月こそその翌日なれ、ほぼ真円の明るい月が煌々として眼下の川面を照らしていた。

 

独英英独辞典のすすめ

更新の暫くないときはだいたい遠出

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長時間電車やバスに乗る時は、というかそれに限らずどこへ行くときも、何か本は持っていきたい。

ただあまりたくさん持って行くのは重たいし、なによりそんなにたくさん読む暇もない。車で移動するときなどは欲張って、大判のものやら、辞書やらたくさん鞄につめて行くのだが、結局ほとんどが徒労に終る。いたづらになる。

 

やはり一番重たいのが辞書なのだが、僕は英語とドイツ語の本を持って歩くことが多いから、ふつう和英、和独辞典の二つを持って歩いている。しかし旅にはとても持っていくわけにいかない。

今回荷物をつめているときに、これなら軽く済む、という策をふと思いついた。

それが独英英独辞典をもって行くことだった。

これ誰の参考になるの?

僕が今回持っていったのが、Langenscheidt(ランゲンシャイト)の独英英独で、これは京都で買った。ワゴンに入っていた。

 


German-English Dictionary (Amazon)

(これは古い版)

 

ドイツ語の本を読むときは独英をみて、英語の本を読むときは英独をみれば、辞書はこれ一冊で済む。

ランゲンシャイトからは廉価でこのようなA語→B語 B語→A語辞典がでているのでニヵ国語勉強している人にはおすすめ。

先生にこのことを話したら、先生も英西西英を使って非常に便利だといっていた。

 

これが今でているもの。(pocket版)


Langenscheidt Pocket Dictionary German: German-english/ English-german (Amazon)

 

 

これは仏英英仏


Langenscheidt French Pocket Dictionary: French/English/English/French (Amazon)

 

 Pocket版だと1500円くらい。

まあしかし英語しかやらない人でも、和英英和辞典をもっていれば便利かもしれない。

(Langenscheidtから和英英和もでているようである)

 

ただこのスタイルの辞典はどうしても語数が多くなって、説明が少ないから、英語をひいたらドイツ語で全く同じ語が書いてあるということも少なくない。(例えばabstractで引くと、Abstraktと書いてある。―若干の説明が加えられていることもある。)

 外国語中をさまよう

独英英独の世界にいると、ちょっと面白いことが起きる。

ドイツ語で引いて、英語をみる。それがちょっと判然としないとき、今度はその英語を引いてみる。

それを繰り返して色々な項目をみるうちに、なんとなく意味が察せられてくる。

ああ、こんな意味かあと納得するのだが、

さて意味はわかるがこれを日本語でいうとしたらなんというだろう?

 

外国語をやっていると日本語でうまく言い表せないということはもちろんたくさんあるが、〇和辞典だと日本語が一応の目安として与えられるし、ほとんどの場合そのうちにしっくりするものがある。

しかしこの場合、少し具合が違う。

 

こういうもやもやとした、言葉で上手くとらえられないところに彷徨うというのは、日本語だけの世界ではあまりないし、言葉というもののある一面に気がつかせてくれる。

これはシソーラス(Thesaurus,類語辞典)でも起こるかもしれない。

シソーラス・ゲーム

そういえば前に妹とシソーラスのある語の内容を読んでいって、その見出し語はなにかあてるというゲームをやったことがあった。

たとえばこんな具合である。

 

proceed by step

go on foot

travel on foot

stroll

saunter

amble

perambulate

promenade

march

tramp

・・・

と読みあげていって、その見出しを当てるわけ。

この場合はwalkが正解。

妹は英語がよくできて、大体2語か3語読めば答えていた。

 

では試しに一題

 

harmonious sound

euphony

harmony

minstrelsy

song

tune

melody

 旅先の古本屋

いつもは終点でおりるところを、今回は4つほど前で降りてみた。

目的地までの距離は結局変わらないから、新しさを求めたのである。

 

バスのアナウンスによれば降りる停車場は近くに美術館があるらしい。

そのあたりはなんども通ったことがあって、美術館があったことは知っていたけれども正確な場所は知らなかった。

ついでだから美術館のところまでいく。

公園と管理人

美術館は住宅街の外れにひっそりと佇んでいて、その奥は大きな公園になっている。

整備した公園というよりは、もともとあった林をそのまま保全しているというようだ。

 

公園の位置を考えると、反対側にいつもいく古本屋がありそうだった。

その古本屋は大きな橋のふもとにあって、家族で二軒店を構えている。

この町にも大学がいくつかあって、かつては古本屋が何軒もあったようだが、今はこの店しかみえない。

 

僕はこの古本屋に行くことにする。

どうやっていけば近いだろう。この公園は抜けられるのか。

と思っていたところへちょうど公園の管理人がやってきた。

 

少し会釈して、

「〇橋へ抜けられますか。」

ときく。

「抜けられますよ。ええとね、順路をまっすぐ進むと右にボートの池があって、その先に土手へあがる道がありますから、右に曲がってください。」

「わかりました、ありがとうございます。」

歩きがけにきかれる。

「どこから?」

「〇〇からです。☓☓があるのです。」

「そう。」

「ええ、さようなら。」

 

歩きだして、言葉と言うのはなんと便利なんだろうと考えていた。

こういうやりとりこそ本当に必要な会話で、褒めたり、いがんだりするのは全く余計だと思った。

公園を歩く

言われた通り路なりに歩く。

これが難しいことだった。

路が分かれている、それも何度も。

 

主たる路が、従たる路と格別ならば困らないものの、

あるところで路が分かれているとして、

分かれ路Aと分かれ路Bは道幅も全く同じで、お互いに自分こそ主路なのだと主張している。

 

あの爺、まったくいい加減だなあ、と思いながら、僕は分かれ路Aでも分かれ路Bでもない、草むらのなかのけもの道のような條をたどっていた。

古本屋

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橋の灯 古本屋からでると日はすっかり落ちていた。

 

一軒は老婆が店番をしている。老婆と言っても背筋のしっかりとした元気なばあさんである。

僕はこのばあさんの店のほうが好きだからそっちのほうを見ようと思って、店の中に入った。

這入るとばあさんはいなくて、床中本だらけで散らかっていた。

あとからばあさんが入ってきて、

「どこを見たい?」

と聞く。

「奥をみたいのですが。」

「いまねえ、片づけの途中でね、ちょっと散らかってるから見せられないわあ、ごめんね。」

 

仕方ないからもう一軒のほうをみることにした。

もう一軒のほうはどうやらこのばあさんの息子がやっているようで、店の中も得に高いというのではないが、店の外の棚が百円均一になっている。

古本屋というのはだいたいこういうところが狙い目である。

 

ひととおり眺めまわして、今回はどうやら英文科の人の蔵書がまわってきたらしいということがわかる。

出版年数等をみると、どうもまだ死ぬ年ではないが、蔵書整理か、それとも早死にしたか・・・

僕の持っていないシェイクスピアの「お気に召すまま」の原書などがあって、今思い返せばそれも買えばよかったかと悔やまれるが、とにかくそのうちWeekleyのEnglish Languageという本を買った。

なんというか、僕は浅学だからこの本がどの位価値のあるものかはっきりはわからなかったのだが、紙面や古本と仲良くしていると知らなくてもある程度直感的にわかるようになる。

 

この本は英語そのものの歴史を扱ったもので、おそらく英語を専門にしている人には必読のものだろうと思われる。

先生に見せると、これ有名な本だよ、と言っていた。”有名な本”を知らないというのはちょっと情ない。

英語とドイツ語

英語はドイツ語と兄弟だから、やってみると色々似ていることがわかるのだが、昔格変化があった時代の英語の説明にはドイツ語の変化表が度々現れる。

例えばドイツ語の定冠詞(英語のthe)はこのように変化する。

 

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※1格=主格 2格=所有格 3格=与格 4格=対格

 

ドイツ語を習うとなるとまずこういう格変化を必死に覚えるのだが、英語にはこれが人称代名詞等ほんの少ししか残っていないから、ドイツ語をやっていない英語専攻の学生なんかはこれで苦労するらしい。

おわりに

確かに、続きを書こうと思っていたのだけれど、ここのところまで書いて放っておいたら、何を書こうと思っていたのか忘れてしまったし、一度途切れると文の流れを捉えるのが結構難しいからここでやめにしておく。

今度の旅にかかわってもう少し考えたことがあったから、それについてはまた別に書きたい。