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きつねの音楽話

老人性古本症候群を患った若者の徘徊ブログ

【名盤】ムローヴァのバッハはきいた?(無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータのおすすめCD)

寒くなってきましたね、Anorakです。

 一連の過去記事を見てもわかるとおりこのところモーツァルトばかり聴いていたのですが、久々になにか別のものを聴いてみようということで、前から気になっていたムローヴァのバッハを聴いてみました。

 

ムローヴァのバッハといって、知っている人はすぐ事情がわかっても、知らない人はなんのことかわからないと思うので、ちょっと遠回りして説明しましょう。

 ムローヴァのバッハ無伴奏を聴く

ムローヴァ(1959-)はソ連(ロシア)のヴァイオリニストで 、若い頃達人レオニード・コーガンに師事したようです。

経歴をみるとまあ派手はもので詳細は省きますが、シベリウスチャイコフスキー両コンクールで優勝していますからその実力は相当なものでしょう。

 

今回はそのムローヴァのバッハ無伴奏を紹介します。 

 バッハの無伴奏曲とは

無伴奏曲というのは、ごく簡単にいうと

通常伴奏を伴う独奏楽器が、伴奏なし楽器ひとつで奏でる曲

のことです。

しかし、単にメロディを弾くだけではないのが面白いところ

 

バッハの無伴奏曲についてはずっと前に書きました。

fuchssama.hatenablog.com

 これのあと続けて幾つか記事があります。

この記事、ブログを開設して2ヶ月くらいのころのものです。

荒いですが、まあ多少の参考になると思います。

ムローヴァ無伴奏

ムローヴァの録音は

古楽器による演奏

です。

使用しているのは1750製のもの

弓はおそらく現代の作家によるバロック

 

クラシック音楽の世界には昔の曲を昔のスタイルで演奏しようという動きがあって、

当時の演奏法や楽器を再現して古い曲、特にバッハ以前(-1750)の曲を演奏しています。

ムローヴァはもとは、というか始めから古楽奏法を身に着ける人というのもいないかもしれませんが、モダン奏法で活躍していた人で、

90年代に録音した無伴奏パルティータ三曲は現代奏法で演奏したものです。

 

それが今回紹介する2009年盤では古楽器による演奏になりました。

感想など

上に書いたようにムローヴァはもともとモダン奏法を完全に身につけていたのに、バッハを演奏するためにピリオド(古楽)奏法を身に着けたようです。

古楽演奏者(アーノンクールガーディナー等)との出会いを通じ、また相当の研究と習得の努力を重ねて、この録音ができたらしい。

その研究と訓練がどれほどのものか、おそらく想像のつかないような努力があったんでしょう。

 

 

僕もバッハの無伴奏は弾きますが、僕の教わった演奏法ではどうしても上手くいかないところがある、というのを弾いているといつも思います。

また現代の達人による現代演奏によるバッハも僕はよく聴きますが、それも演奏としては100点満点だが、バッハとしては何かが違う、と感じられる時がある・・・

それに比べるとやっぱり古楽演奏というのは当時の楽器、奏法に従っているだけあって、聴いていてひっかかりがないというか、極めて自然なものです。

 

ところでムローヴァの演奏は、確かに古楽器による古楽奏法なのですが、

例えばバロックヴァイオリンの草分けクイケンと比べると、音に芯があるというか、腕の重みがしっかりかかっているというか、

こういっていいのかわかりませんが現代奏法に近い気がします。

僕は古楽奏法に詳しくないので当たっているか知りませんが、古楽の繊細さと、現代奏法の力強さを融合したような独特な演奏スタイルのように感じます。

 

最近は古楽の演奏が現代演奏にも影響しているようですから、古楽器を使用しない演奏でもこういう折衷したようなスタイルがスタンダードになっていくのかもしれません。

おわりに

最近はこのムローヴァのバッハをよく聴いていました。

毎日一曲(番)ずつくらい聴いていたんですが、いやあ面白い。

僕の場合ヴァイオリンをやっているので、どう演奏しているかというところに注目してしまうところもあるんですが、やっぱりなにより聴いていて自然で説得力のある演奏です。

バッハの演奏は大演奏家のものでも、単調で退屈なことがあるんですが、ムローヴァの演奏は活きいきしています。

制御はされているけれど、その中でできる最高度に自由な演奏という感じ

これが本当にすごい、見事

凡人には真似できません

 

無伴奏曲はたぶん難解なものなので、皆が好んで聴けるかといったらちょっとわかりませんが、興味があるっていう人にはこのムローヴァ盤がおすすめできるなあと思いました。

まあ興味があったら聴いてみてください。

 

最近あんまり音楽のことを、まあ色々考えるところがあって、書いていませんが、こういう軽いCDレビューでもたまに書いていこうかなあと思っています。

どうなるかわかりませんが

というわけで今回はこのへんで、さようなら