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クラシック初心者がまず聴きたい、おすすめの交響曲&名盤まとめ

2016年12月11日投稿 2017年1月28日更新

 

クラシック音楽といえば、交響曲(シンフォニー)という感じがあります。

コンサートでもメインは大オーケストラによる交響曲です。

クラシックを聴いてみようと思ったら、多くの人が交響曲を聴くのではないでしょうか。

 

この記事の主目的はおすすめの交響曲と名盤を紹介することです。

しかし、ただ紹介するだけではなく、交響曲を楽しく聴けるようになるポイントも書きますから是非読んでみてください。

おすすめ曲は聴きやすさや人気という点から主に選びましたから、必ずしも最高傑作といわれるものを選んだわけではないことを断っておきます。

 

 

おすすめの交響曲&名盤まとめ

 代表的な交響曲作曲家とその交響曲を名盤と合わせて紹介します。

古典派の交響曲

古典派は交響曲を成長させそして完成させた時代で、重要な作曲家はハイドンモーツァルトベートーヴェンの三人です。

ハイドンはおよそ108曲、モーツァルトは41曲、ベートーヴェンは9曲の交響曲を完成させています。

ベートーヴェン交響曲は第一番から第九番まで全て重要ですが、ハイドンモーツァルト交響曲で普通問題にされる(よく演奏され、聴かれる)のは後半一定の曲だけです。

ハイドン(1732-1809)

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ハイドンは108という膨大な数の交響曲を書いていますが、よく演奏されるのは第82番から第87番までの「パリ交響曲集」以降の曲です。

特にロンドンで書かれた第93番以降は「ロンドン(ザロモン)交響曲集」と呼ばれて充実した作品が集まっています。

ハイドン交響曲を聴くならまずこの第93番以降を聴くとよいでしょう。

 

ハイドン交響曲の多くは注文主の趣味に合わせて書かれたものですから、易しく聴きやすいものが多いのが特徴です。

 交響曲第94番ト長調「驚愕」

ハイドンは1791年にロンドンに渡って、それからしばらくの間ロンドンの聴衆のために作曲をしますが、第93番から第98番までを一般に(第一期)「ロンドン(ザロモン)交響曲集(ロンドン・セット)」と呼びます。

一般聴衆のために書かれたこれらの作品は、質が高いのはもちろん、わかりやすさ親しみやすさを追求しています。

 

第94番「驚愕」は第二楽章に驚かされる演出がありそう呼ばれています。全体を通して親しみやすいです。他に第100番「軍隊」などもききやすいです。

名盤

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 ◇フルトヴェングラー/ハイドン:交響曲第94番&モーツァルト:交響曲第40番「驚愕」(Amazon)

※CD画像はAmazonから

・メーカー等によって聴こえ方は変り得ますが、 試聴して雰囲気を確かめてみてください。(以下同様)

 ※iTunesは▶で試聴できます。

 

交響曲第101番ニ長調「時計」

第99番から第104番までが第二期のロンドン交響曲

第101番はハイドン交響曲の最高傑作の一つといわれるもの。「時計」というのは第二楽章の特徴的な伴奏からとられたニックネーム。

ロンドン・セットを集めたCDも多くあるので、それらを求めるのもいいと思います。

サー・コリン・デイヴィス「ロンドン交響曲」1「ロンドン交響曲」2  などがおすすめ。

モーツァルト(1756-1791)

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モーツァルト交響曲でよく演奏されるのは第31番「パリ」から第41番「ジュピター」あたり。(若い番号の曲にもいくつか好まれるものがある。25番とか29番とか)

モーツァルトハイドンのように親しみやすい作風ではありますが、特に後半は当時聴衆に理解されなかったということからもわかるように、難解なところがあります。

第39番から40,41の三曲は「三大交響曲」と呼ばれて特に高い評価を受けています。

交響曲第35番ニ長調「ハフナー」

モーツァルトは1781年からウィーンにでて、フリーの音楽家として生計をたて始めましたが、そのころの曲。冒頭の力強く幅の広い主題が印象的。

個人的に好きな曲、おすすめ。

 

交響曲第41番「ジュピター」

モーツァルト交響曲最後の三曲は、非常な名曲ではあるが難しいところもあります。41番はそのうちではわかりやすい曲。終楽章の五重フーガが有名。

 

 第35,36、38~41番を後期6大交響曲などと呼び、それらを集めた録音も多いです。

ベームのモーツァルト後期交響曲集などがおすすめ。

ベートーヴェン(1770-1827)

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ベートーヴェンクラシック音楽を完成させ、また交響曲を完成させた人。

全部で9曲ある交響曲はどれも重要な曲で、特に第9番は今もって世界に大きな影響を与えています。今もしベートーヴェンが生きていたら確実にノーベル賞をもらっているでしょう。

交響曲第6番ヘ長調「田園」

ベートーヴェン交響曲中唯一の標題音楽で、ウィーン郊外のハイリゲンシュタットの初夏の情景を表しているとされます。

しかし、単に情景のみを表したのではなく、ベートーヴェンは「絵画というよりは感情の表現」と記しています。

標題音楽:曲の性格や内容を指示する題名や説明文がついている音楽のこと。

 

交響曲第7番イ長調

テレビドラマ「のだめカンタービレ」でとりあげられて一挙に有名になった感のある曲。もちろん非常に評価されている曲でもあって、リストが「リズムの神化」と称したりワーグナーが「舞踏の聖化」と評したりしています。

 

 ベートーヴェン交響曲は多くの指揮者が全曲録音しており名演名盤も多くあります。

カラヤンのベートーヴェン:交響曲全集 などがおすすめ。このベルリンフィルとの録音は特に評価が高いもの。

Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125

Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125 "Choral": IVb. "O Freunde nicht diese Töne"

 

ロマン派の交響曲

ベートーヴェンによって完成された古典派交響曲は、ロマン派の音楽家たちによって枝葉を広げていくことになります。

交響曲を作曲する作曲家は常にベートーヴェンを意識し、ベートーヴェンとどう違うか、どう超えるか、ということが考えられました。

そのためにロマン派の作曲家でハイドンモーツァルトのように膨大な数の交響曲を書いた人はいません。一曲一曲が非常な重みをもっており、徐々に規模を大きくしマーラーに至っては超大規模の曲が生れました。

シューベルト(1797-1828)

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シューベルトは亡くなった年(1828)をみるとベートーヴェンとほぼ同じ時代の人ですが、ロマン派に位置付けられています。 歌曲作曲家として有名なシューベルトですが、歌曲以外にも膨大な数の曲を残しています。交響曲は全部で八曲あり、最後の二曲が特に有名です。

最後の二曲は昔、第8番「未完成」、第9番「ザ・グレイト」と呼ばれていましたが、今は第7番「未完成」、第8番「ザ・グレイト」と呼ばれることが多いです。

交響曲第8番ハ長調「ザ・グレイト」

この曲の楽譜はシューベルトの兄の家に埋もれていましたが、シューマンがそれをみつけだし、メンデルスゾーンが初演しました。

シューマンはこの曲について「ベートーヴェンからの完全な独立」を示し、「ロマン主義の精神」が見出されると言っています。

 

メンデルスゾーン(1809-1847)

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 ヴァイオリン協奏曲やピアノ小曲集「無言歌」で有名なメンデルスゾーンですが五曲の交響曲を残しています。

メンデルスゾーンの音楽は明快な形式と澄んだ響き、躍動感のあるリズムが特徴で、交響曲もまた均整のとれた美しいものです。

交響曲第4番イ長調「イタリア」

メンデルスゾーン1830年の11月から半年ほどローマに滞在していますが、そのローマ滞在中の経験がもとになってできたのがこの交響曲第4番です。

第一楽章冒頭の爽やかで喜び溢れる主題が印象的。第四楽章はイタリアの舞曲サルタレロやタランテラのリズムをもちいたもの。

 

シューマン(1810-1856)

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 ベートーヴェンが成し遂げた交響曲による”詩と音楽の融合”という偉業の継承を自らの課題として積極的に取組んだのがシューマンでした。

彼の四曲の交響曲はその成果であるわけですが、シューマンは道半ばで体を悪くしてその道をブラームスに譲ってしまいます。しかしシューマンの音楽はまぎれもなく”詩的”な音楽であってそのロマンティシズムを聴き味わう価値はあります。

交響曲第3番変ホ長調「ライン」

シューマン本人がつけたわけではありませんが、シューマン音楽監督としてライン地方にいったときに経験したことがもとになって書かれたのでこう名付けられました。

伝統的な四楽章構成ではなく、五楽章構成。第四楽章が挿入された形になっていますが、これは初めてケルンの大聖堂を訪れた時にみた式典から受けた感動が音楽化されたもの。

 

ブルックナー(1824-1896)

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 ブルックナーは後期ロマン派に属する作曲家で、後半生ほとんどを交響曲の作曲に費やしました。

オルガンの名手であったブルックナー交響曲もまたオルガン的な発想と響きをもっています。熱烈なファンもいれば、全くわからない人もいるという不思議なもので、音楽の内容はベートーヴェンのようなドラマティックなものではなく神や自然への賛美を表します。

ブルックナーの音楽は”原始霧”(絃の細かい刻み)と呼ばれる神秘的な始まり方を多くとります。

交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」

ブルックナー交響曲のうちではロマンティックな要素が強い曲で親しみやすい。他に第七番なども聴きやすいです。

冒頭ホルンの音が静かに鳴るが、夜明けのひんやりした空気が感じられるよう。現代の喧騒からは程遠いところにあります。

 

ブラームス(1833-1897)

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 ブラームスが第一番の交響曲を発表するのに20年ほどかかったというのは有名な話です。ベートーヴェンに課された課題の大きさがその理由の一つではありますが、本人の性格が自己批判の強く、慎重で、優柔不断のところもあったといいます。音楽を聴いているとなんとなくその辺は察せられるような気もします。

シューマンの保護のもとで活動を始めたブラームスは、わかりやすくいえば”交響曲をかかない”という方向をとっていたリスト・ワーグナーと対立関係にありました。

第一番の交響曲で堂々とベートーヴェンの後継者たることを示したブラームスですが、最後の交響曲第四番に向かって、なんというかその事情を考えると、面白い道をたどりました。

交響曲第1番ハ短調

ブラームスが非常に気負って20年かけてかいた曲で、”ベートーヴェンの第10番”などと呼ばれる曲です。冒頭から重々しいので、打ちのめされそうな人は第二番がいいかもしれません。

 

チャイコフスキー(1840-1893)

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 これまで紹介してきた作曲家はいずれも(広い意味での)ドイツ人でしたが、チャイコフスキーはロシア人です。交響曲のスタイル自体がおそらくドイツ(・オーストリア)的で、ドイツ人の得意とするところなのでしょう。チャイコフスキー交響曲交響曲という名前はありますが、ベートーヴェン的なものではありません。

チャイコフスキーの音楽の特徴は旋律の美しさとハーモニーの華麗な響き、そしてロシア土着の踊りのリズムです。

チャイコフスキー交響曲は全部で六曲(+一曲)ありますが、第四番から第六番までの三曲が特に人気です。

交響曲第4番ヘ短調

チャイコフスキー交響曲第6番を初演したあと数日して亡くなりますが、その最後の第6番がチャイコフスキーの最高傑作といわれます。しかし第6番は全く難解なものですから、第4番あたりから聴くのがよいでしょう。

第4番は非常に暗い始まりですが、最後は生命の火花がはじけるような盛り上がりをみせます。

 

ドヴォルザーク(1841-1904)

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ドヴォルザークもまたチェコ人というドイツから離れたところの人間で、日本人にとってはチャイコフスキーとともになじみやすい作曲家です。

ドヴォルザークブラームスに推薦され、また影響されて世にでた作曲家で、交響曲にもブラームスの影響がみられます。

交響曲第9番ホ短調新世界より

ドヴォルザーク交響曲は全部で九曲あって、この第九番が有名な「新世界より」です。これはドヴォルザークが新世界たるアメリカに渡って書いたもので、インディアン音楽の影響などがみられます。チェコ(ボヘミア)の要素は第8番等のほうがより強く表れていますから、第8番も 聴いてみると面白いでしょう。

 

マーラー(1860-1911)

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 マーラー交響曲は10(+1)曲ありますが、どれもよく演奏されるものです。

マーラーはロマン派の最後にあって、ブラームスのとってきた純粋器楽の交響曲ワーグナーが生み出した楽劇、また宗教的要素の強いブルックナー交響曲の要素を取り入れた綜合的なものです。

曲の長さも、オーケストラの規模も巨大化し、その音楽はありとあらゆるものを表現しようとするものです。

交響曲第5番嬰ハ短調

マーラーはアルマという女性と結婚し、しばらく幸福な結婚生活を送りますがこの曲はその幸せの絶頂期にかかれたもの。

全五楽章からなるが、第四楽章が特に有名。

 

 近現代の交響曲

20世紀にはいると、それまでの音楽とはまったく異なる音楽、例えば”無調の音楽”などがつくられるようになり、まあなんにせよロマン派の音楽とは違う音楽ができるようになります。

時代のものとして、現代に生きる我々が強いシンパシーを持つ作品群のはずですが、実際はそうでない場合も多いようです。

以下は近現代の作曲家のうちでも重要でよく演奏される交響曲作曲家を紹介します。

シベリウス(1865-1957)

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シベリウススウェーデン系のフィンランド人でフィンランドを代表する大作曲家です。

交響曲は全部で九曲あります。第一番はドイツ・ロマン派やチャイコフスキーの影響を多分に受けたものですが、第二番は祖国への愛を高らかに歌ったもので、それ以降は一曲ごとに違う、独特の交響曲をつくりあげました。

交響曲第2番ニ長調

シベリウス交響曲のうちでもっとも親しまれているもの。民謡風の主題や、色彩感の強さでフィンランドの自然を想像させる曲。

 

ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958)

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イギリスは長い間大音楽家がでない時期がつづきましたが、20世紀になって続々と名作曲家がでるようになります。その中心となったのがヴォーン・ウィリアムズです。

ヴォーン・ウィリアムズの音楽は基本的にイングランドの自然と詩と沈思の世界です。

交響曲は全部で九曲あり初めの「海の交響曲」から晩年の第9番まで大作が並んでいます。

交響曲第5番ニ長調

第5番は第二次世界大戦中につくられた曲で、その影響が表れてはいますが、基本的には安らかな音楽です。

20世紀の音楽は常に戦争と共にあります。

 

プロコフィエフ(1891-1953)

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プロコフィエフソ連の大作曲家でバレエ音楽などが有名ですが、交響曲はバレエやピアノ作品と比るとあまりとりあげられるものではありません。作品の研究も他の作曲家と比べると進んでいるとはいえないようです。

プロコフィエフスターリン時代を生きた人ですから、その作品もまたその制約を大いに受けています。交響曲や他の曲の全貌は今まさに知られつつあります。

交響曲第1番ニ長調「古典交響曲

プロコフィエフが学生時代に没頭したハイドンの研究の成果が発揮された作品。ハイドンが現代に生きていたらこのような曲を書くだろうというようなスタイルで書かれています。つまりスタイルは古典的で、和声(ハーモニー)は近代的。

 

ショスタコーヴィチ(1906-1975)

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プロコフィエフと同じくソヴィエトの作曲家

創作活動のほぼ全体に渡って、全部で十五曲 もの交響曲をかきました。

それらはショスタコーヴィチの苦悩とまたソ連の伝記のようなもので、あるいは我々に最も共感をよびうるものかもしれません。

交響曲第5番短調

ショスタコーヴィチ交響曲は現代の曲の中ではよく演奏される曲ですが、第5番はそのうちでも特に人気のある傑作。ロシア革命20周年の記念に初演され大成功を収めた。

名盤

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ムラヴィンスキー/ショスタコーヴィチ: 交響曲第5番「革命」(Amazon)

暗雲のたちこめる感じはするが、きびきびとしたリズムがかっこいい。

Shostakovich : Symphony No.5 In D Minor Op.47 : IV Allegro Non Troppo

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交響曲とはどういうものか

交響曲は、実際聴いたことがある方はわかると思うのですが、一曲の中に四曲もあって、それぞれが長くて聴いているうちに眠くなる・・・(音が大きいから不可安眠)

以下は交響曲を聴く手掛かりに、交響曲がどういう形をもっているものか書きます。

 

”シンフォニーとは何か”というと実はちょっとややこしい問題があって、作られた時代等によって形に結構な違いがあります。

ただ、ふつう交響曲というと(ウィーン)古典派という時代に属する大作曲家が確立したスタイルのことをさしますからここではそういう難しいことはひとまずおいておいて、その普通いう交響曲の形式(特徴)について少し説明します。

ロマン派や近代の交響曲を聴くときはここからどれほどの差があるか、というところに注目するとよいです。

1, 多楽章構成

交響曲ではふつう第一楽章から第四楽章までの四つの楽章で成っています。

典型的な形は下図のとおり

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第一楽章

ふつう快速な楽章、ソナタ形式

第二楽章

ゆっくりとした歌うような楽章 (これをよく緩徐(カンジョ)楽章といいます。)

形式は様々

第三楽章

メヌエットまたはスケルツォがおかれる

速さは中庸なものから速いものまで様々

注:緩除楽章と舞曲楽章は順序が入れ替わることがあります。

第四楽章

ふつう軽快な楽章

(大)ロンド形式か、ソナタ形式が多い

2, ソナタ形式とその他の形式

形式というのはある曲を構成する類型のことで、つまり〇〇形式というと、その曲がどういう構造をもっているかを表しますが、交響曲で一番重要なのが第一楽章におかれる”ソナタ形式”です。

 

その他の形式も合わせて典型的な形をごく簡単に表すと下図のようになります。

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AとかBというのがあるいはわからないかもしれませんが、クラシック音楽では曲が4小節とか8小節とか、またはもっと大きい単位でまとまりをつくっているのが普通で、それをAとかBとかで表しているわけです。

同じ文字が複数あるのは何らかの意味で大きな共通要素をもった部分が再び現れるからです。(とりあえずは簡単に同じ部分と思っておけばよい。)

 

三部形式というのはいわば原始的な、素朴なもので、みてなんとなく察せられるように多くの形式はこの三部形式から発展したものです。

ソナタ形式

ソナタ形式二つの主題を持つのが最大の特徴で、AとBがそれを表しています。

普通AとBは性格の違うものがおかれます。

Cは展開部といって、AやBで出て来た主題(テーマ)や動機(モチーフ) を用いて一場面をつくります。

ソナタ形式については下の記事で詳しく書きました。

fuchssama.hatenablog.com

 

ソナタ形式を第一楽章にもつ多楽章楽曲をふつう”ソナタ”といいますが、形式的な観点からいえば、”管弦楽のためのソナタ”が交響曲になります

 ロンド形式

三部形式はABAという”三部”で出来ていますが、Aがもうひとつ増えてABA〇Aという五部形式になると、普通これをロンド形式といいます。

Aはほぼ同じ形、調で繰り返されます。

〇には任意のものが入ります。

 

これがさらに大きくなると、ABACABA等の形の七部形式になります。

複合三部形式

三部形式のABAの各要素が”複合”状態のものをいいます。

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五部や七部の複合型もあります。

ロンドソナタ形式

形は七部形式と同じですが、ちょっと難しくなりますが、和声的なありかたがソナタ形式に近いです。

ABACABAのBがソナタ形式の第二主題、Cが展開部の性格をもったものです。

つまり初めBは主調とは別の調で提示されますが、あとででてくるほうは主調で再現されます。

詳しくは上のソナタ形式の記事を参照ください。

※ロンドソナタ形式は「ソナタ的なロンド形式」で「ロンド的なソナタ形式」ではありません。しかしロンド的なソナタ形式というのも存在します。

変奏曲

変奏曲は以上の形式とはことなる部類のもので、まずテーマAが奏されたあと、それが次々に”変奏”されます。

変奏というのはテーマで提示された曲の”原型”を基にして音楽をつくることで、変奏曲ではテーマの後変奏1、変奏2、変奏3・・・と続きます。

他のジャンルと比べたときの交響曲の特徴

多楽章構成やソナタ形式交響曲だけでなく他の曲種、例えばピアノソナタやヴァイオリンソナタ弦楽四重奏などにもみられます。

交響曲独特の要素といえば、大編成のオーケストラによる音量とそのうちに含まれる様々な楽器による音色、そしてそれらの綜合です。

交響曲を演奏するオーケストラは、当初弦楽五部に木管何本かとホルン位の大きさでしたが、

時代と共に大きくなり19世紀半ばには、

弦楽五部(ヴァイオリン二部、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)が二人一組で幾組、

木管四部(フルート、オーボエクラリネットファゴット)と

金管四部(トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバ)も各パート一人から四人、

それに打楽器(ティンパニ)が二つから四つという大編成になりました。現代の曲では他に多彩な打楽器が加えられます。

あとがき

実はまだ書こうと思っていたことがいくつかあるのですが、記事が非常に長くなってしまったため断念します。別の記事にするかもしれません。

日本人に人気のある交響曲チャイコフスキーとかドヴォルザークとかちょっと中心からはずれたようなものが多くて、極東の野蛮人たる日本人にはやっぱり東の音楽が合うのかなどと思いますが、ブラームスの人気があるのはちょっとわかりかねることです。

日本人に人気の交響曲ベスト10とかランキングをつくると、このあたりが入ってくるでしょう。

クラシック音楽のファンともなると、もちろんそんなことはなく古典派から現代までことごとく愛するようですが・・・

クラシック音楽のなかで交響曲はもっとも重要なものですが、それと同時にもっとも親しみにくいものでもあります。規模が大きくて、また多くは抽象的だからです。

なんというか交響曲を聴くにはある種の忍耐力みたいなものが必要で、ほとんど修業のような姿を呈することもあります。

そうなってくるとベートーヴェンがめざした音楽と詩の力を中心に人々が手をとりあうということ、つまりそのためには万人に理解される必要があるわけですが、そういう理想からはちょっと遠ざかっているのではないかなどと、特に”難解”なものを聴いていると思われてしまいます。

僕の個人的な交響曲の思い出はまた機会があれば書きましょう。

 

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