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きつねの音楽話

老人性古本症候群を患った若者の徘徊ブログ

モーツァルトの弦楽四重奏第21番第一楽章を分析してみる

最近演奏はほとんどしていなかったのですが、急に題名の曲をやることになりまして、しかしこの曲はたまに聴く程度でちゃんと注目したことはなかったので、どんな曲かちょっとみてみようと思います。

 

 

モーツァルト作曲 弦楽四重奏第21番ニ長調

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番号からしてもかなり後期の作品のようですね。

曲の内容

第一楽章 ソナタ形式

第二楽章 二部形式

第三楽章 メヌエット

第四楽章 ロンド

 

二部形式は簡単にいうと、全体が大きく二つの部分に分けられるというようなところです。まあ無視してください。

 

とりあえず弾くのは一楽章だけなので一楽章をみてみます。

第一楽章をとりあえず聴いてみる


Mozart/String quartet No.21 1st mov. /Barylli SQ (1955)*Public domain

バリリ弦楽四重奏団

 

提示部

第一楽章ですからニ長調で、ソナタ形式です。

冒頭かなり単純な第一テーマ、第二バイオリンがたらたらやってビオラは単純にレを連続しています。チェロは休み

 

そのあと12秒くらいに特徴的な音形が二度繰り返されますね。

そこでテーマがビオラに移ります。チェロが今度レを連続して弾いていますね。

こういうずっと同じ音を鳴らすことを”保続”なんていったりします。ここではレを連続して鳴らして”ニ長調ですよ”とそういってるんでしょう。

 

そのあとまた特徴的な音形が出てきて、チャンチャンチャン、チャンチャンチャン、合間にメロディを挟んでチャンチャンチャン、チャンチャンチャン

直ぐチェロがバイオリンを模倣していますね。

 

45秒ぐらいからバイオリンがやたらと”ラ”を打つ

らーーーーー ららららららーシドレドシラソファミレらー らららららーシドレドシラソファミレらー

チェロも”ら”を連呼

これはここで属調(イ長調、Adur)に移りますよ、といっているわけですね

 

52秒あたりチェロが第二主題を奏でます。

これは息の長いテーマですね・・・

らどどみみーーーーーーーーーーー

と伸ばしている間にバイオリンがタタタタタ・・・・とおりてきます

そしてチェロが歌う。

次はセカンドバイオリンへ

しれれふぁふぁーーーーーーーーーーー

バイオリンとビオラがタタタタタ・・・・・

バイオリンが歌う。

次はビオラ

みそそししーーーーーーーーーーーー

セカンドとチェロがタタタタタ・・・・

最後ファーストに行きますが様子が変わります。

 

1:20あたりあの特徴的な音形

そのあとチェロも奏でます。

 

1:40あたりからファーストバイオリンが場を終わらせようとしてきます。

チェロが下の方でラを連発(聴こえ難いです)

 

展開部

2:09あたりから

なにやら怪しい雰囲気です。

提示部最後にでてきた音形がバイオリンとチェロによって繰り返されます。

 

2:23秒 おっとト長調に行きました。よくわからないでしょうが、とにかくト長調にいきました。ビオラソをずっと伸ばしています。

 

2:37 チェロとバイオリンがまたあの音形(ちょっと変化している)

 

2:55 セカンドに第一主題らしき音形が!そのあとビオラにも現れます。

期待感がつのります。

 

再現部

3:14 第一主題が再現されました。始めとおなじですね。

4:07 セカンドバイオリン第二主題再現 今度は再現部なので主調(ニ長調)です。

主題はセカンド→ビオラ→チェロと移ります。

だいたい提示部と同じですね。

 

4:57 同じようにファーストが活発な動きでその場を収めます。

そして今度は”レ”をチェロが連弾

ファが一番上のやや不完全の感じのする終止でおしまいです。

 

まとめ

全体のつくりもですが、第一主題などかなり簡単なつくりになっていますね。

簡単な素材で聴かせるのは難しいようですから、モーツァルト後年の腕が光るところでしょうか。

 

あと私はスコア(総譜)をみながら聴きましたから、みなさんが普段聴くときにこんな聴き方をする必要はありません。

ただ、第一主題、第二主題、提示部、展開部、再現部くらいはわかると面白いと思います。モーツァルトハイドンはわかりやすい作りをしているので聴きやすいと思われます。

ロマン派では、第一主題と第二主題のコントラストが面白いところの一つですから(ショパンなど極端です)古典のわかりやすい曲でおさえておくとよいと思います。

 

 

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音色が明るくはきはきしていて気持ちのよい演奏です。

弦楽四重奏は4人で演奏すると云うところが重要で、音色もそろっていて和声的に完璧な形態です。

そこに表される調和と、またそれぞれの楽器のキャラクター、楽器間の対話を楽しめます。ファーストとセカンドも別の奏者が弾いているわけですから音色が違います。注目してみてください。