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きつねの音楽話

老人性古本症候群を患った若者の徘徊ブログ

読書初心者にも本好きにもおすすめ 海外児童文学名作10冊をランキングにしてみた。

 2016年6月9日投稿 2017年1月27日更新

 

児童文学はつまり児童向けの本ということですが、古典的なものは現代日本の子供向けの本と違って相当の分量と内容をもっています。

僕は児童文学が好きでよく読むのですが、これが本当に面白いものが多い。

子供向けなので読みやすいのですが、さすがに古典的名著になると読みやすさだけでなく内容もついてくる。

普段読書しない人で読書を趣味にしたいという人にも海外児童文学はおすすめです。

読書感想文にもよいですね。

 

今回は本を積み上げるのが趣味の僕が、いままでに読んだ中から面白く、人生を豊かにする、子供にも大人にもおすすめの作品をランキングにしてみます。

おすすめ海外児童文学10

1、不思議の国のアリス

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 ◆不思議の国のアリス(Amazon)

※画像はAmazonから(以下同様)

言葉遊びと現実離れした予測不能の展開がおもしろい作品。

作者のキャロルは数学者で作品も数学的要素に貫かれているらしい。

不思議の国のアリス」はご存知の通り、うさぎを追いかけて不思議の国に迷い込む話。様々の動物が登場し、最後ハートのクイーンが代表するトランプの集団が活躍する。

実は「鏡の国のアリス」という続編もあり、こちらはチェスがテーマになっている。

詳しくは前に書いたこのブログの記事↓を参照。

原作「不思議の国のアリス」のすすめ

2、クマのプーさん

これまたディズニーアニメで有名なプーさんも実は原作がある。

作家のミルンが息子のクリストファー・ロビンのために書いたもので、プーやコブタ(ピグレット)等には実際にモデルになったクリストファーのぬいぐるみがある。

日本ではおそらくディズニーアニメの絵柄で有名だろうが、原作の挿絵はシェパードのもので違った味わいがある。

 

僕は原作の英語版で読んだが、英語の難しさは初級から中級程度。

父親がクリストファーに物語るというもので、時折現実にかえってくるという珍しいつくり。この構成は下に書くムーミンシリーズ中の「ムーミンパパの思い出」でもみられる。あるいはプーさんを真似たものかもしれない。

笑い声がでてしまうくらい面白いところもあれば、心に残るいい場面もある。

これも続編「プー横町にたった家あり

3、たのしいムーミン一家

僕は相当のムーミンファンで、それは前にこのブログにも書いた。

→『日本語と英語で読む原作ムーミンの世界

ムーミンの魅力は登場人物それぞれの強いキャラクターで、それが交わることで非常な魅力を生み出している。

作品は全部で9つあり、長さもまちまち。初めて読むのならば「たのしいムーミン一家」がいいと思われる。自分は大人で、あんまり子供っぽいのはいやだという人は『ムーミン谷の仲間たち』等後期の作品がおすすめ。詳しくは上の記事参照。

4、宝島

 冒険ものの元祖のような作品。

宝の地図を手にした少年が宝を目指して航海にでる。地理などの設定が細かく、バーソロミュー・ロバーツやハウエル・デーヴィス等有名な海賊の名も出てくる。

ティーブンソンといえば、他に「ジキル博士とハイド氏」が有名で、僕はこの作品の根底にある英国の心理みたいなものは非常に面白いと思うが、ちょっと怖い話なので子供向けではないかとも思う。

 

読書通の人には詩集の「子どもの詩の園」を是非おすすめしたい。

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子どもの詩の園(Amazon)

Pirate Story

Three of us afloat in the meadow by the swing,

   Three of us aboard in the basket on the lea.

Winds are in the air, they are blowing in the spring;

   And waves are on the meadow like the waves there are at sea.

ティーブンソンはさびしい子供時代を過ごしたようで、その想いが詩ににじみ出てなんともいえない情感がある。

参考に、宝島にちなんで海賊ごっこをテーマにした詩の一部を載せておく。

5、星の王子さま

かんじんなことは、目には見えないんだよ

という名言のある言わずと知れた名作。

ある星に住む「小さい王子」と、「僕」の思い出を語る、優しくユーモアにあふれ、また心のしめつけられるような痛ましい物語。

読んでみてなかなか難しいものだと思った。

内藤濯(あろう)訳が定訳だが、新訳もある。

新潮の河野真理子訳は読んでみたが、よい訳だと思う。

 

挿絵には実はオリジナルと”写し”があって、天文学者の見る先に星があるかないかでみわけることができる。星があるのがオリジナル。

6、あしながおじさん

友人に薦められて読んでみると意外と面白かったもの。

孤児院育ちのジルージャ・アボットが顔も知らない後見人の「あしながおじさん」にあてて書いた書簡(手紙)が内容のほぼすべてを占める。

あしながおじさんはdaddy long legsで、後ろ影をみて背が高かったこととかけてあるが、意味は”ガガンボ”。

ユーモアあふれるもので、ウェブスターの挿絵も特徴あるもので面白い。

どちらかというと女性向けかもしれない。

ジュディ(ジルージャ)の大学時代の友人サリー・マクブライドが彼女に宛てた書簡が内容の続編「続 あしながおじさん」がある

7、(アルプスの少女)ハイジ

原作のハイジの第一部には「ハイジの修行と遍歴の時代」という副題がついているが、これはドイツやスイスの職人制度に関係のある題で、こういうものをドイツでは教養小説、Bildungsroman(ビルドゥングスロマーン)という。(Bildungが教養、Romanが小説)

孤児であるハイジが、アルプスの山暮らしとフランクフルトでの生活を経て成長していく様をえがく。

ハイジに関してはやや詳しく↓の記事に書いた。

都会人にこそ改めてみてほしい「アルプスの少女ハイジ」 僕とハイジの話』 

8、ピーターラビットのおはなし

お母さんに禁じられたのにも関わらずマクグレーガーさんの家に忍び込むピーター。案の定見つかって大変なことに・・・

ピーターラビットは小説ではなく絵本だが、絵の美しさがひときわ目立つ。

シリーズは全部で十篇以上ある。

これも僕は原作の英語版で読んだが、難易度はおそらく初級。

 

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ピーターの食べているこれはにんじんではなくて実はラディッシュ(はつか大根)。

確かロング・スカーレットとかいう品種で、今は貴重なものだったように思う。

僕もブレックファストという長くなるラディッシュを育てたことがある。これは簡単に手に入る。

9、最後の授業(月曜物語)

普仏戦争後のアルザス地方におこった悲劇を描く。

これはドーデの「月曜物語」という作品集のうちのひとつ。

少年スパイという話も戦争時の少年の話で、小銭欲しさに祖国を裏切ってしまう少年とその父親を描く。

それぞれの話は短いが、読みやすいうえに非常に味わいがある。

10、絵のない絵本

 毎夜空に覗く月が、絵描に自分のみたことを物語るもので第一夜から第三十三夜まである。

夜の澄んだ空気と月の光で満たされているような美しい話だが、内容はやや難しい。

新潮の矢崎源九郎訳など格調高くよいと思うが、いま出版されているものは表紙絵に品がない。

 

 

以上10冊を紹介しましたが、10冊に絞るのはなかなか難しいですね。

おすすめのものなので、あまりマニアックなものは外しました。

結果をみると英国のものが多いですが、各国から選ばれています。

ここに紹介したものは誰でも一読する価値のあるものだけですから、是非参考にしてみてください。