【〇〇円!?】ストラディヴァリウス弾いてみた。
こんばんは、読者様々
まず書いておきますが、
この記事のタイトルはおそらく僕のブログの中で一番衝撃的でありましょう。いわゆる”ツリ”的題名。
ただ僕の手元にはその楽器の写真も、弾いた音声もありませんから、実際に弾いたかどうか証明できません。
まあ、別に信じるも信じないもどちらでもいいでしょう。
・・・本当にどっちでもいいんですから。
この記事に書いたように僕には親しくしている楽器屋があるんですが、たまにその工房の持つ楽器を弾かせてもらうことがあります。
で、その問題の楽器はその楽器屋の所有するものです。
ストラディヴァリウス弾いてみた
画像はwikipediaから以下同様
ストラディヴァリウスというと結構話題になりますから、一度は聞いたことがありましょう。
ストラディヴァリウスはイタリアの製作家アントニオ・ストラディヴァリ(1644-1737)によって作られた楽器です。
その音色のよいのと、高値がつくことで有名です。
楽器屋の方は親切にも、以前から機会があったらストラディヴァリウス弾いてみたらと勧めてくれていたのですが、これまではやはり高額なものですしなんとなく怖いので遠慮していました。
がしかし、
ストラディヴァリウスなんてそう簡単に弾けるものじゃないし、運が手中にあるうちに弾いておこうという気になり、次の機会に弾かせてもらおうと考えました。
それでその機会があったわけです。
楽器を弾かせてもらうときは、ストラディヴァリウス以外にも古今の様々な名器をありがたくも弾かせてくれるのですが、それぞれが十分よい音色で、そして僕にとっては非常に高額なものです。
同じ価格帯のものでも、また同じ産地のものでも、弾いてみると一挺々々全く違うものというのがよくわかります。音質はもちろん、弾いた感触や、音の出方なんかがそれぞれ異なっていて面白いものです。
意を決して、
「ストラディヴァリ弾かせてもらってもいいですか。」
と何か末恐ろしいことを口にすると、
「そうですね、特別に」
といってガラスの容器にくくりつけられた楽器を取り出してくれました。
僕もこれまでそこそこ高い楽器を弾いたことがありましたが、やはりストラディヴァリウスとなると、楽器云々より僕の心構えから違って非常に緊張しました。
これらは僕の弾いた楽器ではありませんが、どちらもストラディヴァリウスです。
弾いたものはどちらかというと上の画像のほうに近い印象です。装飾はありませんでしたが。
古い(オールドイタリー)の楽器は見た目から現代の楽器と違います。
もちろん古びた感じがあってその差が大きいのですが、目につくのは表面の質感です。
新しい楽器は大体ニスがピカピカと塗ってあって表面が平らなのですが、オールドのものは言い方が悪いかもしれませんが、でこぼこしています。
そしてふくらみかたもそれぞれ違う。
そして持ったときも驚きます。
かなり軽い。
僕が、
「材料の木というのは時間が経つと軽くなるんですか」
と聞くと、職人さんは、
「木自体は酸化しますから重くなります。削り方が違うんです。」
と教えてくれました。
つまり、現代の多くの楽器より板が薄く削られているらしい。
薄いほうが振動しやすいのはわかりますが、薄すぎても強度が落ちるので、そのバランスをとるのが非常に難しいといいます。ストラディヴァリのばあいは薄さであわせるというより敲いたときに鳴る音の音高を揃えてあるようです。
前にストラディヴァリウスの音の出方というのを聞いていたのですが、恐る恐る弾いてみるとその通りの音がでました。
言葉で表すのは難しいですが、僕の普段弾いている木の箱がぎやーんというのに対し、
とーん、とか、つうーんとかいう感じ。
音に棘がなくて柔らかい。それでいてすっとでる。
正直に言うと壊したら困るとおびえていたので、そこまで楽しんでは弾けませんでした。前にストラドを弾いたことがあるという人の話を聞いたことがあったのですが、その人の恐れた気持ちがよくわかりました。
でも、これまで弾いたどの楽器とも違うというのははっきりわかりました。
今度弾く機会があればもうちょっと弾いてみたい・・・。
それで、最後まで、恐る恐る楽器を返すと、次はなんと、
「ガルネリ弾いてみる?」
と言われました・・・笑
ガルネリはみなさん知らないかもしれませんが、ストラディヴァリと同じくらい有名なヴァイオリン製作家です。
ガルネリというのは苗字で今言うのは
バルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・ガルネリ(1698-1744)のことです。
このガルネリが作った楽器はガルネリ・デリ・ジェスと呼ばれるのですが、僕が弾かせてもらったのは後期のものです。
前期のものなんかもみせてもらいましたが、時期によって作り方がかなり違うようにみえました。
ガルネリウスとストラディヴァリウスはよく比較されて、ガルネリのほうはどちらかというと低音がよく、ストラディヴァリウスは高音がよいといわれるようです。
僕も弾いてなんとなく、そんな感じはするなあと思いましたが、びくびく弾いているのでまあよくわかりません。
ただストラディヴァリウスを弾いたあとだと何か感覚が麻痺して、少し楽しんで弾けました笑
ガルネリも棘棘しさが全くなく、この上なく心地よい音がしました。とにかく”響き”がいい。
みなさん気になるのが値段でしょうが、実はこの二つ値段がついていませんでした。
楽器の値段というのは他のものと同じように時によってかわるもので、なんともいえないのですが、つけるとしたらつくであろうおよその値段を推測することはできます。
僕がこれまで弾いた一番高い楽器は1500万円のものでしたが、その楽器には1500万円という値がついていたので、値段がついていないということは少なくともそれ以上はするということになりましょう。
またストラディヴァリウスが取引されるときはだいたい数億円(2~3億)というのが多いようです。
僕は弾きながら、これ借りるとしたら1分いくらだろうと考えましたが、さてどうでしょう。
もうちょっと曲を暗譜して訓練してから弾かせてもらえばよかったとちょっと残念でしたが、本当によい経験になりました。
一生ものの経験です。自慢できます笑
今度もしまた機会があったら別の楽器も弾いてみたいですね。
ストラドもガルネリもヴァイオリン弾きからすると夢の国の話なのですが、実際弾いても夢を見たようでした。現実感がない。
ああ、でも弾いたときの心地よさが完全に身に沁みついているので夢ではなかったようです。
いい音だったなあ・・・