収穫したハーブで香る花束作り、個展でヴァイオリン弾いてきた、その他
暫く前、いつものように喫茶店へ行きDM(ダイレクトメール)の並ぶところを眺めていると、
・・・DMの並ぶところというのはギャラリーなんかによくありますが、各ギャラリーで行われる個展などの開催を知らせる葉書が広告としておかれているわけです。
で、そこを眺めているとヴァイオリンが目に入ってきました。
珍しいな、なんだろう
と思ってそのDMを手に取ると、それは例のTままさんのDMでした。
※Tままさんを知らない人のために:このブログにたびたび登場するばあさん。詳しくは過去記事や『このブログについて(aboutページ)』参照。
よくよく見るとDMの写真に写っているのは一緒に楽器屋に行ったときに貰ったヴァイオリンのポスターでした。
そのポスターの前にTままさん自前のドレスがポーズしています。
Tままさんは年に幾度か個展をひらきます。
ゆく河の流れは絶えずして云々のような、Tままさんらしい題をつけられた個展には、その時々の、Tままさんが作った服、絵や絵本、その他ガラクタが集められます。
喫茶店について暫くすると当のTままさんがやってきて、僕にそのDMを手渡します。
ちゃんと宛名に僕の住所と名前が、なぐり書かれていて、その下に
フラリとのぞいて下さいね
とメッセージが添えられている。
そして、
ちょっとヴァイオリンなんか弾いてもらおうかしら。ヴェルナーの野ばらなんか。有名なやつをね。あんまり知られていないのは・・・
などと勝手に話を進めていました。
収穫したハーブで香る花束タッジーマッジー作り
ちょうどTままさんの個展のときは庭のハーブが花盛りで、それに僕はこのところその喫茶店にラベンダーを摘んでもっていくので、ちょうどいいやと思ってハーブで花束を作っていくことにしました。
お呼ばれしているわけですから、手土産が必要です。
香りのいい、殺菌作用のあるようなハーブで作る花束をタッジーマッジーといって、ハーブの図鑑によるとこれはヨーロッパで昔疫病や、あるいは悪霊を払うために使われたようです。
語感としてはヨーロッパ語らしくない感じがどうもするんで、先生に聞いてみましたが、先生も初めて聞いたらしく話し合いの末、どうやら北アメリカあたりが由来の言葉じゃないかという話になりました。決定的にはわかっていないので今度また調べてみます。
この記事でカモミールを摘んでティーをつくりましたが、このときはまだラベンダーはつぼみの状態でした。
ちょっとだけ青色が見えますね。
それがTままさんの個展のときは摘みごろになっていて、
・・・この写真が重要なんですが、データの中にないんでどうも撮り忘れたらしい。笑
まあ、それでラベンダーを主にして花束を作ることにしました。
ラベンダーは晴れの数日続いた早朝に刈るのがよいらしいです。他のハーブもそうでしょう。
摘んだラベンダーは麻紐で結んで、花束用、喫茶店用(店と店員)に分けて、残りは自宅ように干します。
今年は摘むタイミングがよかったのか香りが強いです。
他に、前摘んだときから間もないのにもう満開のカモミール
何本か摘んで、これも残りは干します。
これはブログにあげていませんでしたが、タイムの株です。
これも僕が種から育てました。
セージのように毎年、同じ株から新芽が出てきます。
香りのよく、花もかわいらしいハーブです。
下のほうに移っている花は忘れな草。
ながれのきしのひともとは
みそらのいろのみづあさぎ
・・・
のあの忘れな草です。
今年は何故かたくさん生えています。
ついでにこの時期の花を少し紹介しましょう。
ヤグルマギクを僕は知りませんでしたが、数年前先生にドイツの花だと教えてもらいました。
種を売っているのを見つけて植えてみましたが、それから毎年実生で生えてきます。
この色が主の色かと思いますが、他の色もあります。
姫金魚草
数年前東京へ行ったとき、国分寺近くの庭園に行きましたが、その入り口においてあったもの。幾らか寄付をしてもらいました。
姫金魚草の種は非常に細かいもので、普通直播はしませんから多少手間がかかります。
が、これも一度植えてからは毎年勝手に生えてきます。
これも幾つか色があります。
庭荒しの正体
毎年この時期になると、庭のセージや紫蘇(シソ)の葉っぱがむしりとられて無残に散らばっているのをみます。
こんな具合にです。(今年の写真)
僕はこれを始めて見つけたとき、大切にしている草花を傷つけられて大変心を痛めました(笑)
散らかりかたが尋常じゃないので、風なんかではないだろうし、遊んでいた子供がボールでもぶつけたかとか、もしや手でむしったか!??と邪推を重ねましたが、結局原因は分らず。
まあ仕方ないと落ちた葉を片付けて忘れることにしましたが、
なんと数日後また荒らされている!
もう推理ばかりが進んで大変でしたが、暫くたったころ犯人に出くわしました。
それはなんと”すずめ”でした。
家をでて庭のほうをみるとすずめがセージの株下にいて、なにやっているのかなと見ていると、くちばしで葉っぱをつかんで、むしりとっています。
それも獲物をとらえた肉食動物のように頭を烈しく振って、次々に葉をむしりとっていきます。
それで上の写真のような状態ができあがるわけです。
見ていると散らかしつくしたセージはそのままに、今度はシソのほうへいって、シソの葉っぱを引きちぎり始めました。
そして納得したのか、その葉っぱをもって、飛び去っていきました。どうやらすぐ近くの民家の軒下に巣があるらしい。
おそらく巣の材料にでもするんでしょう。
その後何度が目撃しましたが、酷いことに、いつもセージはちぎるだけちぎって放ります。そしてシソを持っていく。
それならセージはちぎらなくていいじゃないか・・・と僕は思うのですが、すずめのやることなら仕方ありません。かわいいから許します。
Tままさんの個展でヴァイオリン弾いてきた。
この日は暑い日で、ハーブは摘むとすぐしおれたようになりましたが、水につけるとなんとか勢いをとり戻りました。
ヴァイオリンを背負い(笑)、自転車にのって喫茶店へ行きます。
喫茶店へついて挨拶をして花束を渡します。
ギャラリーにはTままさんと娘さんがいて、こういいます。
「ちょうど気の利いた人がいないかなあって話してたのよ、本当に。あんまりちゃんとしたのもあれだし、野の花なんかを持ってきてくれる人がいないかなってね。」
すぐに花瓶にたててくれました。
入っているのは、ラベンダー、カモミール、タイム、レモンバーム、ロシアンセージ(これの種類がはっきりしない)、ミニバラ。
かざるとハーブたちのいい香りが部屋に充満しました。
そして、僕がヴァイオリンを持ってきたのを見るなり、
「あら、持ってきてくれたの。じゃあ弾いてもらおうかな」
と言います。
僕は他のお客に遠慮して、閉店間際になってからにしましょうと言ったのですが、Tままさんは
「ここまできたら逃がさないよ。」
と言って、どうしても弾かせようとするので、お店の人に頼んで弾かせてもらうことにしました。
僕はTままさんのリクエストに応えて、野ばらの楽譜を持っていきましたから、ヴェルナーの野ばらを弾きました。
Tままさんと娘さんの他に数名のお客さんがいます。
「みなさんも知っていますから一緒に歌ってくださいね。」
あんまり大きい音がでると困るのでうつむきがちに、小さめに。
わーらーべーえはーみーたーりー・・・
~♪~
くーれなーいにおおお~(フェルマータ)
のーなかーのばーああらー
と弾き終りましたが、弾き終るや否やTままさんはすかさず、
「はい、次の曲!」
と間髪いれずに攻めたててきます。
仕方ないので、今度はシューベルトの野ばら。
ヴェルナーを変ホ長調で弾いて、シューベルトもその調で弾きました。
今度は
わっらっべっはーみいたありー
の方です。
この曲についてはずっと前に記事を書きました。
下手な演奏に拍手を貰って、それから展示を見ました。
これはその一角です。
Tままさんは机の本にみるようなサブカル趣味があります。
お菓子の袋で作った小さなバッグが面白いですが、僕は演奏のお礼にとこれを一つ貰いました。
一通りみて、喫茶のほうで一息ついていると、そのうちにまたTままさんがやってきて、
「もう一回ヴァイオリン弾いて。闘病中の友だちがいるのよ。」
と言います。
僕はまた辟易しながら向かって、ひと弾き。
今度は楽譜がないので、
「何を弾きますか」
と聞くと、
「なんでもいいのよ。」
というので困ってとりあえずバッハの無伴奏パルティータ第三番のガボットの有名な一節を弾きました。
Tままさんは相変わらずはい、次、はい、次と急かしてきます。
「う~ん、あの有名なガボットとかは?」
というので、”あの有名なガボットを弾きました。(笑)
ラシラファソラソミレッ↓ レッ↑ レー↓というあれです。
アヴェマリアなんかいいなあというので次はグノーのアヴェマリア。
もうずっと弾いていなかったのでかなりうろ覚えでしたが、音符をなんとか思い出しつつ弾きました。思い出しながら弾くのはかなり難しいです。
闘病中というんで、アヴェマリアはよかったかなあと思います。
あとはバッハの(G線上の)アリアもなんとなくで弾きました。
こんな感じで何曲か弾いてやっと開放してくれました。
個展でヴァイオリンを弾いてほしいというのを前から言われていたので、弾けてよかったと思います。ただ次機会があればもっと準備して行こうと思いました。リクエストが烈しい・・・
「また期間中にヴァイオリンもって来てね」
といわれてその日は別れました。
後日談
最終日に時間があったので、行ってみることにしました。
その日は夏の雨でしとしと降っていました。
僕はまたヴァイオリンを背負って喫茶店へ歩きます。
喫茶店へ着くと入り口のところにTままさんと娘さんが大荷物で立っていました。
聞くとその日はいつもよりはやめに店じまいしたらしい。
「せっかく来てくれたのにね。でも、今日ちょっと面白いことがあったのよー」
といって話してくれたのですが、閉店間際に某喫茶チェーンの社長がやってきて、あった服をほとんど皆買っていったらしい。
「置き土産にうどんくれたからあげるわ。」
といって僕はうどんを貰いました。
そういうとちょうどタクシーがやってきたので、雨のなか僕も手伝って荷物を運んで、さようなら、といって別れました。
さて、どうしようかなと思って歩いていると、Tままさんからの着信。
でると娘さん、
「これからご飯食べに行こうって話してるんだけどね、よければアノ君も来ない?ビルのところで待ってるから。」
というんでTままさんのアトリエへ。
Tままさんのアトリエは喫茶店からすぐのところにあって、僕がつくとタクシーから荷物が降ろされていました。
久しぶりですね、などといって荷物を運びます。
荷物を運んでアトリエで一息。
「先生も呼んで打ち上げしましょう。」
とTままさんがいって、先生に電話をかけました。
そして、せっかく持ってきてくれたんだから、といってまたヴァイオリンを弾かせようとするんで、僕は喫茶店に行く前に楽器屋で買ったモーツァルトの楽譜の中から適当に選んで弾きました。
しばらく話をしていましたが、先生を待ってたら埒があかないという意見にまとまって、食事に向かいました。
ちょうど先生から着いたという電話、Tままさんは
「たまには先生抜きでもいいって話してたんだけどね。」
といって笑っています。
近くのそば屋に入ることにして着席、Tままさんは
「今日はご馳走しますから。」
といってちょっといいのを頼みなさいと薦めてくれるので、Tままさんセレクトの天ぷらがついたそばを頼みました。
Tままさんと娘さんは珍しくエビスのビールを頼んで飲むらしいんで、僕も一口貰うことにしました。
僕は普段お酒は全く飲みませんが、この時の一口のビールは格別でした。
Tままさんの個展が成功してよかった。
後日談の後日談
つい先週Tままさんが喫茶店にやってきて、僕に封筒をくれました。
ひらくと中に写真が入っていました。
俯いて弾いていましたが、そんなに姿勢が悪くなくてよかった。